ミャンマー駐在体験談

ミャンマー政変後の状況を一人の日本人駐在員の視点で書くブログ

軍政府の言い分

 クーデター発生から一夜明けた2月2日は、意外と平穏な一日だった。障害のあった携帯電話、インターネット接続、TV放映は復旧していた。TVに関しては、一部BBC、CNNといった外資系のチャンネルは放映がストップされているが、NHKワールドプレミアムは見れるようになり、日本語の放送が復旧したのは、我々にはありがたかった。ネットワークも戻ったので、通関システムも復旧し、銀行のATMも使用できるようになった。街中に軍や警察が多くいるのと、空港が相変わらず軍に占拠されている以外は、通常通りで、工場も前日同様の稼働をした。ただ、これは嵐の前の静けさだと思った。

 

 さて、今回の国軍のクーデターについて、軍政府は正当性を主張している。彼らの動きを整理してみよう。2月1日早朝、ヤンゴン地域、ネーピードー管区を含むミャンマー全土で、NLD*1の政府閣僚、議員、党員が多数拘束された。2020年11月に行われた総選挙で、国軍を支援するUSDPが惨敗したのだが、その原因は、NLDの行った不正選挙にあるとみなし、今回のクーデターが発生した。

 2月1日に国軍放送局が大統領府命令を発表し、憲法第417条及び418条の国家緊急事態宣言の規定に基づき、国の司法・立法・行政の権限が大統領から国軍司令官に委譲された旨発表された。国軍政府は、上述の大統領令発表において、2020年11月の総選挙で国軍等が有権者名簿の誤りを指摘したにも拘わらず、政府及び連邦選挙管理委員会は見直しを行わず、また議会を当初の予定通り開催しようとしたことは、民主主義に対する重大な違反であり、憲法第417条及び418条の国家緊急事態宣言を発表した、この措置は同規定に基づき一年間の法的拘束力を有すると説明しています。簡単にいうと不正選挙をしたから、憲法に基づいて、国家非常事態宣言を発出し、1年間国軍司令官が、司法、立法、行政を掌握するということだ。法的には問題ないと正当化したいのだろうが、「不正選挙の疑い」を調査するために、政権与党関係者を拘束するのは、人道的に問題だと思う。当然のように、アメリカ、EUなどの先進国から、今回のクーデターを非難する声が上がっている。軍政府が目指す着地点がどこなのか、今のところはまだはっきりしていない。

ミン・アウン・フライン国軍司令官↓↓↓

 

*1:国民民主連盟。アウンサン・スーチー女史が率いる政権与党。2015年の選挙で圧勝し、2020年11月の選挙でも圧勝