ミャンマー駐在体験談

ミャンマー政変後の状況を一人の日本人駐在員の視点で書くブログ

インターネット接続遮断

  2月6日土曜日、いつもの週末のように、なかなかベッドから起き上がることができず、スマホでメールをチェックしたり、うたた寝したり、ウダウダしていた。スマホで本社からのメールが入っているのをチェックしたので、後でパソコンを開いて返事をしなきゃと思いつつ、だらだらと過ごし、朝9時過ぎにベッドから起き上がり、コーヒーを沸かし、眠い目をこすりながら、やっとパソコンを開いた。

 えっ、インターネットに接続できない。アパートのWifiが接続できないことはよくあるので、携帯のデザリングでWifiを繋げようとしたが、それもできない。多くの人との連絡を、Line、WhatsApp、ViberSNSばかりで連絡を取り合っていたので、いざそれらが全く機能しなくなると、どうしようもない。特に日本人の人との連絡はLineが多かったので、相手の電話番号すらわからない。失敗したなと思ったが、もう時すでに遅し。携帯電話の音声通話は使用可能だった。まず日本の上司に電話を掛けたが、留守番電話でつながらず、メッセージを残した。携帯電話は、事前にチャージする方式で、そこから通話料金が引き落とされるが、たしか1500円分くらいしかチャージしていなかったはず。そうすると、国際電話で長電話するわけにもいかない。他に連絡を取れる方法がないか考えていたら、ふと、マレーシアにいる駐在員に電話してみようと思いつき、電話をかけた。こちらも留守番電話だったので、メッセージを残した。

 そこまでして、いったん落ち着きを取り戻し、ミャンマーにいる日系企業の知り合いに電話をかけてみた。彼もやはりインターネット接続ができないようだった。彼の住んでいるアパートは、日本人が大勢住んでいるので、大使館からの情報が紙に印刷されて回ってくるらしいので、何か連絡があったら、電話を欲しいと依頼し電話を切った。

 すると、1時間後ぐらいに折り返し電話が来た。

ミャンマー政府が、2月6日午前9時過ぎから、携帯回線を介したデータ通信、固定電話を通じたデータ通信を、7日まで使用を停止するよう通達を出したらしいよ」とのことだった。

 そして彼は、「いやぁ。参ったね。やることないね。You Tubeも見れなきゃ、Netflixも見れない。仕方ない、酒飲んで、早く寝よう。」と言って電話を切った。

 その時、今更ながら思い知った。今の時代、我々はインターネットがないと、何もできなくなっているということを。25年くらい前までは、インターネットなど繋がらなくても、何ひとつ不自由を感じずに生活できたのに。ある意味いい機会なので、本を読むことにした。日本から持ってきた本が10数冊あり、Kindleにも何冊がダウンロード済みの本があるので、1か月くらいは、インターネットが繋がらなくても、本を読むことを娯楽にできそうだと思った。それと、私は妻が一緒に住んでいる。ほとんどの駐在員が新型コロナ騒ぎで、家族を帰して、単身でミャンマーに残っているので、1人で住んでいる人が大半。うちは妻が日本に帰らず一緒にいるので、話し相手がいる。それだけでも気持ちが落ち着く。ありがたいことだ。

 午後になって、マレーシアの駐在員から電話がかかってきた。国際電話だが、着信なので、携帯電話のチャージを気にせずに長電話できる。

 「日本の上司に電話して、留守番電話にメッセージは残したのですが、ミャンマーではインターネットが繋がらず、音声通話しかできないのです。また携帯電話のチャージ金額が少ないので、こちらからかけることが難しいので、すみませんが、メールで上司にその旨を伝えていただけませんか」とお願いしました。

 「大変ですね。いいですよ、もちろん。他に困っていることは、ありますか?食品とか足りています?。何かあったら何でも連絡して下さい。」と温かい言葉をかけていただきました。困難にあったときほど、人の親切が身に染みることはない。

 翌日7日日曜日の午前中に、日本の上司から電話があり、事情を説明し、8日月曜日にはインターネットは復旧する予定だということを説明した。

 すると、思いのほか早く、7日の午後2時半頃にインターネットが復旧し、ひとまず、ホッとした。

 国軍政府は、週末のデモ拡大を懸念して、インターネットを遮断したと思われる。SNSを遮断しても、完全に遮断できなかったので、こういう対応をしたのだろう。しかし、デモによる抗議活動は一向に収まらないどころか、拡大している。情報を遮断したところで、人々の意思や行動は簡単に変えることはできないようだ。今回、インターネット接続の遮断は、週末だけだったから、仕事に支障がなかったが、このあとが心配だ。それにしても、インターネットひとつでオロオロする今の自分にガッカリした週末だった。