ミャンマー駐在体験談

ミャンマー政変後の状況を一人の日本人駐在員の視点で書くブログ

治安部隊が治安を悪化させる⁉

 2021年3月1日、ヤンゴンの大型商業施設の一つ、ミャンマープラザが一時閉鎖を決めた。閉鎖の理由は、治安部隊が大挙して買い物客の安全を確保できないからだ。言葉にすると、全く意味不明なことが起きている。”治安部隊が大勢来ると、買い物客の安全が確保できない”とは、これ如何に。「逆だろ‼」とつぶやき、クエスチョンマークがいくつも頭に浮かんだ。治安という言葉を大辞泉で調べてみたら、「社会の秩序・安寧が保たれていること」と書かれている。治安部隊という言葉も大辞泉に記載があり、「治安の維持を主な任務とする部隊」と書かれている。つまり「治安部隊が大挙して、買い物客の安全が確保できない」ということは、”社会の秩序・安寧の維持を主な任務とする部隊が多数一団となって行動しているので、買い物客の安全が確保できない”ということだ。辞書で調べるほど、ますます意味不明になっていく。何が起こっているか、ツィッターの写真を時系列に並べてみる。

2021年2月24日のミャンマープラザ↓↓↓

2021年2月26日、ミャンマープラザの周囲に治安部隊が訪れ、抗議デモ参加者を拘束する動きが発生↓↓↓

 2021年2月26日、治安部隊が訪れたため、ミャンマープラザ内にあるスーパーマーケットのシティスーパーが、買い物客の安全のためシャッターを閉めた。↓↓↓

 2021年2月28日午前、ミャンマープラザ前で抗議デモをする市民↓↓↓

2021年2月28日午後、ミャンマープラザで、抗議デモをする市民を排除・逮捕するため大挙した警察などの治安部隊の行動↓↓↓

 

ミャンマープラザの閉鎖のお知らせ↓↓↓

 2021年3月2日よりミャンマープラザは閉鎖され、閉鎖期間は未定。

 この写真や動画を見ておわかりいただけただろう。「治安部隊が大挙して、買い物客の安全が確保できない」とは、警察などの治安部隊が大挙おしかけ、武力を使って抗議デモ参加者を排除・逮捕する行動をするため、買い物客の安全が確保できないということだ。現在のミャンマーの警察は治安維持に努めているのではなく、抗議デモ参加者を排除し、逮捕しているだけだ。しかも、非武装の平和的な抗議デモ隊に対して、武力を使って排除し、多数の市民を逮捕している。武力を使用するので、デモに参加していない一般市民にも危害が加わる可能性があるため、ミャンマープラザは閉鎖に追い込まれた。国軍政府の一連の対応は、結果として、経済も悪化させている。

 国軍政府の指揮する警察は、全く治安維持活動を行っていない。こういう行動をする警察らを治安部隊と呼ぶのはおかしい。国軍政府は、受刑者を23,000も釈放し、治安を悪化させた。そのうえ、警察は平和的な抗議デモ参加者を武力で排除し、複数の死傷者を発生させ、多数の市民を逮捕している。国軍政府は、市民の安全や社会の秩序・安寧を保つ意思など毛頭なく、国軍政府を非難し、批判するものを排除することしか考えていない、とんでもない国の指導者たちである。一連の抗議デモ排除の行動は、警察という治安部隊を使って治安を悪化させた愚行として、今後、語り継がれるだろう。

 国軍政府の行動は、国連からの制裁があって然るべきものだ。国連や日本を含めた先進国は、内政干渉だと躊躇する必要はない。ミャンマー市民のために一刻も早く介入し、総選挙で選ばれた民主主義政権に戻すよう働きかけていただきたい。