ミャンマー駐在体験談

ミャンマー政変後の状況を一人の日本人駐在員の視点で書くブログ

治安部隊という名のテロリスト

 2021年3月3日は、少なくとも38人の死亡が確認されたとマスメディアで報道されており、2月1日にクーデター発生後、一番最悪の日になった。

 今回のことが起きて思い出したのは、かつて中国で起きた「天安門事件」だ。「天安門事件」は、1989年6月に北京の天安門広場民主化を求めて集結していたデモ隊に対し、軍隊が武力行使し、多数の死傷者を出した事件。今回ミャンマーで起きたことと同様、民主化を求めるデモを武力で排除し、多くの死者が出た事件だ。天安門事件では、中国共産党報道規制を敷いたことで、真実が正しく世界中に行き渡ったとは言えず、隠蔽されていることも多い。しかし時代がかわり、今や一瞬でツィッターなどのSNSを通して真実が発信される。もはや国軍政府の残虐さは、世界中の誰の目にも隠せなくなっている。

怪我人を輸送するために待機している救護隊員に暴力をふるう警察官↓↓↓

武装の市民を銃で殺害する治安部隊↓↓↓

 多数の死者が発生し、警察からの暴力が止まらないにもかかわらず、一夜明けた3月4日も、非暴力・不服従の姿勢を貫き、市民による反政府デモは続いている。市民の国軍政府に対する怒りは収まらず、警察が武力を使用して弾圧すればするほど、反政府デモは勢いを増す様相だ。 市民側の本当の意味での「決死の覚悟」を感じる。

3月4日デモの様子↓↓↓

 バリケードを張り、自己防衛する市民↓↓↓

 このように安全な社会活動ができないとなると、企業活動は続けられない。最大手のスーパーマーケットチェーンであるCity Mart Holdingsが3月4日の店舗一時閉鎖を発表した。市民が道路にバリケードを張り巡らし、警察も交通規制をするため、ヤンゴン市内は至る所で通行ができない状態となり、配送も難しくなった。そのため、私の勤める工場にも燃料を納入する業者が来れなくなり、事業の継続が次第に難しくなっている。 

最大手スーパーマーケットチェーンの店舗一時閉鎖のお知らせ↓↓↓

 ミャンマーの治安部隊は、非暴力の市民に対してますます激しく弾圧し、武力で制圧しようとしている。その様子について、私が会社のオンライン会議で、「まるで戦場のようだ」と発言したところ、従業員は異なる意見を言った。

「武力と武力がぶつかり合うなら、戦場と呼べるが、市民は非暴力・不服従で抵抗している。だから戦場でもなく、戦争でもない。非暴力の市民を武力で殺傷する警察や軍は、テロリストだ」と。

「マフィアかヤクザが、国政を担っている状態で、我慢できない」とも。

 私もできるだけ、ミャンマー市民の気持ちに寄り添って発言しているつもりだが、ミャンマー国民である従業員は、私の受け止め方とは違う。私はできるだけ早く安全な状態に戻って、企業活動を再開したいと考えているが、従業員は、民主政権へ戻すことが最大の目的で、そのためならどんな辛抱もできるという姿勢の者がほとんどである。

 このようなミャンマー国軍政府の強硬姿勢・暴力行為に対し、欧米諸国は制裁する意思を表明している。3月5日には、国連の常任理事国非常任理事国によるオンライン会議が行われるようだ。国連がどのような対応をするのか、固唾をのんで見守っている。