ミャンマー駐在体験談

ミャンマー政変後の状況を一人の日本人駐在員の視点で書くブログ

治安部隊の暴徒化

「抗議デモを治安部隊が鎮圧」というニュースを見聞きすることは、今までに何回もあった。その場合、抗議デモを行う側が暴徒化し、市民の安全を守るために、警察などが武力を持って鎮圧するというものだった。しかし、今ミャンマーで起こっている事態は、そういうことではない。デモ隊が暴徒化しているのではなく、治安部隊が暴徒化している。ミャンマーのデモ隊は非暴力・不服従を貫いているにもかかわらず、ミャンマーの警察や軍は、警告もなしにデモ隊に実弾を発砲している。治安部隊が、ミャンマーの治安を悪化させているのだ。

例えば商業地においては、以下のような状況だ。商業地にデモ隊が終結していると、デモ隊解散をさせるため警察が発砲する、デモ隊は近隣の店舗に逃げ込む。警察はデモ隊を追いかけ、その店舗を襲い、店舗の商品を略奪する行為をしている。こうなると、デモ隊が集結する地域では、当然店舗の営業を継続することができなくなる。こうして、経済活動が止まる事態が続いている。

治安部隊に追われ、近隣の建屋に逃げ込む人々↓↓↓

治安部隊に襲われた携帯電話ショップ↓↓↓

 警察が店舗を襲撃する様子↓↓↓

商業地が危険な状況になると、市民は住宅地でデモ活動を行うようになる。すると、警察は鎮圧のために発砲をする。デモ隊は近隣の住居に逃げ込む。警察はデモ隊を追いかけ、逃げ込んだ先の住居に侵入し、デモ隊だけでなく、その住居の住人も一緒に逮捕する。こうして、デモに参加していない一般市民も、デモ隊をかくまった罪で逮捕されるなど、安心した生活が送れない状況に追い込まれる。警察が来ると安心した生活が送れないので、市民は自ら生活道路にバリケードを設置する。こうして交通がマヒする。

治安部隊に破壊された家↓↓↓

 市民が手作りのバリケードを設置して道路を封鎖。それを治安部隊が撤去しようとする↓↓↓

治安部隊の行動はますますひどくなる。治安部隊は、活動拠点として学校を占拠し始めた。占拠した学校から治安部隊が出動している様子を、以下の写真で見ることができる。3月7日夜には、さらにひどいことが起きた。夜9時頃から、ヤンゴン各地で治安部隊が発砲を始めた。私の家でも銃声が聞こえる状態が続いた。治安部隊は威嚇射撃をすることで、抗議デモを抑え込もうとしている。しかし、武力でいくら脅しても、デモは収まらない。特に若者は、治安部隊に発砲されようとも、軍事政権は絶対に認めないという決死の覚悟で臨んでいる。こんなことが続けば国民は国軍政府に対して不満しか抱かず、解決の道は遠のくばかりだ。

3月7日夜の様子(発砲音が聞こえる)↓↓↓

 学校を占拠する治安部隊↓↓↓

このように、治安部隊は抗議デモを弾圧するために、武力を使い、暴徒化している。一方の市民は、若者を中心に決死の覚悟で臨んでいるため、武力行使をされても、抗議デモは一向に収まる気配を見せない。

暴徒化する警察↓↓↓

 収束しないデモ↓↓↓

 催涙ガスでデモを排除しようする治安部隊↓↓↓

国民は、どんなに武力で脅されようとも、クーデターで政権を握った国軍政府を認めるつもりは一切ない。 外国人の私から見ても、国民の生命を脅かす国軍政府が支配する状況は容認できない。一方、国軍政府は、武力で制圧するしか手段がないようだ。こうなると、もはや第三者が介入して止めない限り解決の糸口は見つけられないだろう。期待される第三者は、国連、西欧諸国、日本ということになる。日本政府の働きかけに期待したい。