ミャンマー駐在体験談

ミャンマー政変後の状況を一人の日本人駐在員の視点で書くブログ

膠着状態のミャンマー

サンチャウン地区の警察による暴力

ヤンゴンのサンチャウン(Sanchaung)というエリアでは、警察を中心とした治安部隊による激しい弾圧が行われている。私の会社のマネージャー1人が、サンチャウンに住んでいるため、警察の横暴な振る舞いについて、毎朝のミーティングで話を聞く。サンチャウンでは多くの市民が抗議デモを行っている。そうすると、治安部隊がやってきて、発砲をし、デモ参加者を逮捕しようとする。デモ参加者は近くの民家や商店に逃げ込み、治安部隊から身を隠そうとするが、治安部隊は容赦なく、逃げ込んだ民家や商店に押し入り、逃げたデモ参加者だけでなく、そこの住民もデモ参加者を匿ったという理由で、暴力をふるったり、モノを破壊したりしたうえで、逮捕までするそうだ。今やミャンマーの警察は、暴力組織に成り下がってしまった。

サンチャウン地区における平和的なデモの様子↓↓↓

 警察による暴力、破壊、逮捕の様子↓↓↓

夜間に集まる治安部隊の様子↓↓↓

これらの写真のように、サンチャウン地域の住民は、外出することもままならない状況で、今や暴力組織に囲まれて、恐怖に怯えて暮らすことを強いられている。それでも、市民は国軍政府のクーデターに対する反対の声を上げ続け、抗議デモは勢いを失っていない。国軍政府と民主化を求める市民との膠着状態が続いている。

CRPH

そのような状況の中で、クーデターで全権を掌握した国軍政府に抵抗するため、アウンサンスーチー氏の所属する国民民主連盟(NLD)の議員らが立ち上げた独自組織「ミャンマー連邦議会代表委員会(CRPH, Committee Representing Pyidaungsu Hluttaw)」が「臨時政府」としての動きを活発化している。CRPHは外交担当者や閣僚代行を選び、自らの正当性を内外に発信しています。CRPHは、①国軍独裁政権の即時停止、②ウィンミン大統領、アウンサンスーチー国家顧問の告示開放、③民主化、④現憲法の廃止の4つを目的に掲げて組織を立ち上げた。

CRPHの声明によって、ミャンマーは、国軍政府とCRPHの2つの政府が並びたつことになった。言うならば二重政権状態だ。しかし、どちらも決め手を欠く。クーデターで政権を掌握した国軍政府を、国連は正式な政権と認めていない。一方、国際社会や経済界はCRPHを正式な臨時政府として認め、解決に向けたテーブルに着く段階には至っていない。NLD政権下の主要閣僚は多くが拘束されたままでCRPHに参画できていないなど、CRPHは政府としての能力に疑問が持たれている。CRPHの主張には賛同できるが、解決までには乗り越えなければならないことが多くありそうだ。私は、国際社会がCRPHを臨時政府と認めて、できるだけ早く解決の糸口を見つけて欲しいと切に願っている。