日本の本社と協議した結果、ミャンマーの情勢を鑑みて、一時的にミャンマー国外に退避することにしました。コロナが流行していなければ、隣国タイのバンコクに一時的に身を置くことも可能だったと思いますが、コロナの流行により、日本以外に避難する場所がありません。そのため、日本に一時帰国します。あらためて国籍って大事だと感じました。私が日本国籍を持つ日本国民だから、日本政府はコロナの流行だろうが、何だろうが、外国から帰る私を受け入れてくれます。国家には国民の生命、財産を守る義務がありますから、当然といえば当然なのでしょうが、現在のミャンマーは違います。ミャンマーの軍事政権は、国民の生命を守るどころか、残虐に殺戮行為を行なっています。しかも民主的に選ばれた政権でもないのに。でも、どんなにその国の状態が破綻しても、国連などの国際社会が、その国家に介入することは難しいことなのだと、今回の件で痛感しました。結局、その国の問題は、その国の国民自らが解決せざるを得ないのです。人道的な支援を諸外国の支援団体が行ったり、非人道的政府にたいして国際社会がある程度の制裁を加えることはできても、最終的な解決は国民自らが行わざるを得ません。今回の混乱が落ち着くまでは相当な時間を要すると思われます。今回スーツケース2つを持って一時帰国し、様々な家財道具はミャンマーのアパートに置いたままですが、場合によってはミャンマーに置いてきた家財道具は捨てる覚悟で、本当に大事なものだけ持ち帰ってきました。
さて、今後ミャンマーから一時帰国する人の参考になるように、コロナ対策で通常と異なる煩雑になった入国手続きについて、自分の体験を交えながら書いていきます。今回は、ヤンゴンー成田の直行便が予約できず、シンガポール経由で帰国しましたので、経由便で帰国した場合の手順についてです。
外国から帰る場合には、PCR検査を出発国において搭乗時刻の72時間前に済まさせとく必要があります。ミャンマーの場合はPCR検査を行う施設が限られているため、出発国における検査がなくても、日本入国が可能です。その場合、日本入国後に政府指定の隔離施設に3日間隔離されることが義務化されています。私の場合は、その3日間の隔離を避けるために、ミャンマーでPCR検査を行っている病院を探し、PCR検査後に登場しました。それでも日本入国後、14日間の自主隔離が求められています。
PCR検査が受けられずに帰国する場合は、日本大使館が発行する「領事レター」が必要になります。領事レターの申請は、搭乗の2日前(平日のみ)までに、日本大使館に連絡する必要があります。詳しくはこちら。
以下に、ヤンゴンでのPCR検査から、日本入国までの流れを記載します。
搭乗日の前々日:午前中にヤンゴンのInternational SOS Clinicで、PCR検査を受診。
搭乗日の前日:15時にSOSクリニックで、PCR検査の陰性証明書を受領。
搭乗日:6:20 ヤンゴンの自宅出発
ヤンゴン空港のゲート前に、警察の検問があり、運転手はIDの提供を求められます。
6:40 ヤンゴン空港到着
7:10 チェックイン完了
通常チェックインカウンターは、フライト時間の3時間前くらいからしかオープンしていませんが、現在はかなり前から開いている模様。空港に早く到着する方が並ばなくていいかもしれません。
7:30 イミグレ通過し、セキュリティチェックを受け、ラウンジ到着
当然ですが、レストランや店舗は全て閉鎖。ラウンジに入れる人は、そこで飲食の提供を受けられます。また、1:00am-9:00amまでインターネット接続が遮断されているのは、空港内も同じですので、ラウンジでもその時間帯はインターネットは使用不可能です。
10:35 フライトは定刻通り出発
15:00 フライトは定刻通り、シンガポール到着
シンガポールでは、乗り継ぎ客のみ機内から先に降ろされます。
そして、乗り継ぎ客には、緑色のリボンが手首にまかれ、自由に行動できないように制限されます。新型コロナ感染対策のようです。
ビジネスクラス利用でも、ラウンジは利用できず、特設の待合所に待機することになります。待合所にはサービスする従業員はおらず、無人の掃除ロボットが床掃除したり、食事を頼みたい場合は、QRコードを読み込んで、空港内のレストランからデリバリーを頼むシステムがあるので、それを利用することになります。快適ではありませんが、何とか乗り継ぎ時間をやり過ごすことはできます。もし長時間待機がつらいと思うならアンバサダーホテルを予約することをお勧めします。
22:40 定刻の1時間以上前にゲートに向かい、日本の入国時に必要なアプリのインストールの案内や必要な申告書を渡されますので、搭乗前にそういった手続きを完了させておくことをお勧めします。以下に事前準備の内容をまとめておきます。
必要なアプリ
①ダウンロード必須アプリ: ダウンロード必須アプリがあるので、事前にダウンロードしておくといいです。入国後の手続きがスムーズです。 以下のURLからご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/000752493.pdf
②アンケート回答 厚労省のアンケートに事前に回答し、QRコードが発行されるので、画像を 保存してください。 アンケートは以下のURLで回答できます。
https://www.ru.emb-japan.go.jp/qr-code.pdf
23:55 フライトは定刻通り、シンガポール離陸
翌日7:00 フライトは定刻通り、成田空港に着陸
成田空港での手続きの流れ
- 書類チェック :搭乗前に配布された資料に必要事項を記入し、到着後、係員によりチェック。
- ID番号決定 :1.の書類を窓口に提出。
- PCR検査 :唾液を採取されます。検査30分前の飲食はしないほうがいいです。検査官に30分以内に飲食したか聞かれます。機内での飲食(水も)は、着陸30分以上前に済ませておいた方が良いです。ただし、水分を摂取しておいたほうがいいと思います。ここで唾液が出ずに苦労している人もいました。梅干しやレモンの写真を見せられて、酸っぱいものを食べた気分になって唾液を出すように促されます。
- アプリインストール・QRコードチェック :次のステップに進む前に係員はQRコードをチェックしています。QRコードがない人はここでダウンロードさせられます。上記のアプリやアンケートのQRコードを事前に済ませておけばスムーズです。
- 書類チェックなど: 係員が書類チェックや、メール受信チェック、スカイプの通信確認なと、いくつかのステップがあり、ステップを進むたびに列に並びます。
- PCR検査待ち: 書類を提出し、PCR検査後に呼び出しされる番号を付与されます。だいたい30分程度イスに座って待機します。
- 検査結果通知 :検査結果が出た人から、6.で通知された番号で呼び出しされますので、陰性証明書をもらいに移動します。
- 入国審査 :陰性証明書を入国時に提示し、入国手続きが完了します。
- 荷物引き取り、税関申告、入国
あくまで上記は成田空港での流れです。私の場合は、フライト着陸が7:00で、税関申告が完了したのが9:30でしたので、2時間30分で済みました。 他の人の話を聞くと長くかかった方は5時間とか6時間かかった人もいるようです。
その後、公共交通機関の利用は不可能ですので、ハイヤー、レンタカー、どなたかの迎えの車を利用することになります。私は、Assist14という、ハイヤーと自主隔離ホテルがセットになったサービスを利用しました。自主隔離先は、15泊16日でマンスリーマンションに滞在し、公共交通機関での移動はできませんし、基本的に外出禁止です。自宅が日本にあるかたは、自宅での14日間自主待機も可能です。アプリでは、毎日数回滞在場所の確認をプッシュ通信する必要がありますので、散歩や必需品の買い物など多少の外出をしても問題なさそうですが、基本的には外出することが難しいです。