ミャンマー駐在体験談

ミャンマー政変後の状況を一人の日本人駐在員の視点で書くブログ

「22222」民主化運動

 昨日2月22日に、ミャンマーでは国軍クーデターに対する大規模なゼネストがあった。ゼネスト翌日の今日は、平常に戻り、私の勤めている工場も操業を再開した。

 2月22日のゼネストは、日付が2021年2月22日で、2が5つ並ぶ日なので、通称「22222」民主化運動と呼ばれる。昨日のデモは、今までで一番大きな規模で、ほとんど全ての企業が休業し、ミャンマー全土で数百万人が参加したと言われている。ヤンゴンでは、スーパーマーケット、飲食店も閉鎖し、国民全体がデモに参加したような状況だった。

  ゼネストを見ると、人数の規模もさることながら、ヤンゴンマンダレー、ネピドーといった主要都市に加え、パセイン、タウンジー、バゴー、ダウェイ等、ほとんどの地方都市で抗議デモが行われ、老若男女、地域を問わず、ほとんどのミャンマー国民が、軍政への反対と、アウンサンスーチーの釈放を求めていることが一目瞭然となった。インターネットが発達し、SNSで情報発信ができる現在は、この様子が世界中に知れわたり、ミャンマー国民が何を求めているのか、全世界に伝わったと思う。

 これまでに、3人の尊い命が警察による発砲で奪われていたので、22日のゼネストで、警察と市民が衝突するのではないかと大変心配していたが、それは杞憂に終わった。抗議デモ参加者から逮捕者が出ているので、国軍政府の圧政が続いていることに変わりはない。

 リーダーがいないのに、この規模の抗議デモを、まるで示し合わせたかのように自然に人が、特定の場所、特定の時間に集まり、混乱もなく、暴力・暴動もなく、一丸となって行われている様子を見ると、政府などなくても、国民一人一人が行動することで、ミャンマーという国は運営できるのではないかと思った。それくらい整然とした抗議デモだった。きちんとした政治体制が敷かれ、ミャンマー国民の力を結集したら、とんでもないほどミャンマーは発展するのではないだろうか。

 CDMは、功を奏し、公務員・銀行員が職場放棄をしているため、銀行が閉鎖され、輸入通関ができない状況で、全く経済活動が回っていない。私のような企業経営者は、とてもやり切れない状況だ。しかし、このように国民が一丸となって、民主政を取り戻そうとするミャンマー国民の運動を目の当たりにすると、感嘆すると同時に、心から応援する気持ちにさせられた。

 このような国民の抗議活動に対し、国軍は驚くほど何もできていない。国軍は報道を通じて、公務員はCDMへの参加をやめて職場に復帰するよう毎日繰り返し発表している。また外国政府に対しては内政干渉をするなという発表を行ったが、それだけだ。全く解決の糸口が見つけられない。

 CDMの今後の推移、経済活動、国民生活への影響等先が見えないが、引き続き安全第一に行動し、いつターニングポイントが来るのか見守りたい。