ミャンマー駐在体験談

ミャンマー政変後の状況を一人の日本人駐在員の視点で書くブログ

非暴力・不服従を貫く市民による抗議デモ

  1.  今週末も、ヤンゴン市内及びミャンマー各地で、アウンサン・スーチー女史の釈放と、民主化を求める抗議デモが行われている。何万人という人が集まって、デモ行進が毎日のように行われているが、明確な指導者が存在しないにもかかわらず、市民が自然と集まりデモを行っている。アウンサン・スーチー女史への支持の高さが、この行動だけでも十分にうかがい知れる。

アウンサン・スーチーの解放を求めるデモ↓↓↓

ヤンゴンダウンタウンのデモ行進の様子↓↓↓

 さらにこの抗議デモが凄いのは、警察から、ゴム弾やパチンコによる攻撃があっても、非暴力を貫いていることだ。アウンサン・スーチーは軟禁されているので、デモ隊への指示などできないのに、デモ隊は、まるで非暴力民主化運動の指導者アウンサン・スーチーの指示を受けたかのように、非暴力を貫いて民主化運動をしている。

警察の「パチンコ」による攻撃↓↓↓

警察により「投石」されたケース↓↓↓

警察や軍による攻撃の数々↓↓↓

 この抗議活動に多くの市民が賛同し、サポートをしている。下の写真のように市民がボランティアで、暑い中抗議活動をするデモ隊に、スイカや水を配っている様子が街の至る所で見られる。

 また、アウンサン・スーチーは、マハトマ・ガンディーの非暴力・不服従運動の影響を受けていたと言われている。抗議デモ行進は、「非暴力」を貫いているし、CDMと呼ばれる不服従運動によって、公務員や銀行員は職場を放棄し、国軍政府に対して「不服従」の姿勢を見せ、金融機関・税関・病院・政府機関などあらゆる業務を止めて抵抗している。指導者がいないにもかかわらず、このように、非暴力・不服従の意思を継承し、統制の取れた行動をしているミャンマーの市民の方々に、私は感嘆しています。

 ここで、これまでデモ抑制に向けて、国軍政府が行った対応を振り返ってみます。

  1. 夜間外出禁止令と5人以上の集会の禁止令→抗議デモを抑えられず。
  2. 夜間のインターネット遮断とSNS接続遮断。中国人技術者の協力でファイアウォールを設置したと言われている→抗議デモを抑えられず。
  3. 23,000人を超える受刑者の釈放し、放火などの事件が多発。→社会に混乱を巻き起こすと言われているが、市民は自ら夜警をするなどして警戒行動をとっている。

 このように、国軍政府が実行した規制や情報統制、恩赦による受刑者の釈放では、全く抗議活動を抑えられていない。そんな状況下、首都ネピドーでは、警察の銃撃で19歳の少女が死亡し、マンダレーでも、20日少年が警察の銃撃で死亡するなど、市民の死傷者が発生している。あきらかに警察の取り締まりがエスカレートしている。おそらく「国軍政府はCDMを抑える解決策を見つけられていない」と、私は見ている。こうなってくると怖いのは、手段のなくなった国軍政府が締め付けをさらに強化することだ。今は、市民と軍・警察の間に大規模衝突が起こらないことを祈るのみだ。