ミャンマー駐在体験談

ミャンマー政変後の状況を一人の日本人駐在員の視点で書くブログ

CDM(市民不服従運動)の影響拡大

 ミャンマーでは、日に日にデモ抗議活動がエスカレートしている。公務員・銀行員など幅広い業種の市民が職場放棄をして、国軍のクーデターに抗議するCDM(市民不服従運動)を展開しているためだ。

 2月16日、ヤンゴンでは、中央銀行の前の道路に若者が座り込み、CDMへの参加を呼びかけ、職員に職場放棄をさせて、中央銀行の機能をマヒさせようとしている。中央銀行は、通貨発行、金融政策、外貨取引に重要な業務を担っているため、中央銀行が機能不全に陥れば、民間銀行も全く機能しなくなる。民間銀行でも多くの銀行員がCDMに参加し、主要銀行は軒並み閉店し、機能していない。銀行の機能不全は、全てのビジネスに影響し、販売、購買、給与支払い、貿易が、一切できない状況になっている。

  銀行員だけでなく、公務員の多くもCDMに参加し職場放棄をしている。ミャンマー南東部のモーラミャインや、ヤンゴン環状線で、鉄道職員が線路に座り込み、列車の運行を妨害している。

  税関の前に、デモ隊が集合し、業務を継続しようとする者に、CDMへの参加を呼びかけている。そのため、税関も業務を遂行することが難しく、輸出入通関がほとんどできない状況となっている。

 2月17日の朝は、ヤンゴンで大渋滞が発生した。CDMへ参加する市民が、路上で故意に車のエンジンを止め、通勤車両の通行を妨害し、職場放棄を促しているためだ。そのため、17日は当社の工場長も出勤できなかった。

 また、日系企業の工場が多くあるティラワ経済特区前でも、デモ隊がCDM参加を促すシュプレヒコール上げたため、事態を重く見た多くの企業が、2月17日は午前中で操業をストップした。このように、CDMは製造業にまで影響を及ぼし始めた。

 病院の医師や看護婦のボイコットから始まったCDMだが、今や多くの業種に広がり、社会・経済に混乱を来たし始めた。

 これに対し、2月16日に記者会見を行った国軍政府の報道官は、公務員によるCDMは国家への忠誠を誓うという憲法に違反しており、扇動者は法律で厳しく罰せられるなど法律に従って対応していると説明した。また、CDMなどの事態収拾に2週間は待てないとのコメントもあった。国軍政府は、CDMの拡大で社会や経済が混乱する事態を強く恐れているので、今後2週間でどのような対応策を打って出るのか、事態を見守りたい。

2月17日のヤンゴンダウンタウンの様子↓↓↓